船橋屋8代目社長:渡辺雅司とはどのような人物で「幸せ」経営術とはどんな戦略?伝統を守りながら革新にも挑めるの?


創業1805年と、213年の伝統を誇る老舗の和菓子店「船橋屋」は東京都江東区の亀戸天神の程近くにあり、参拝客帰りの人で賑わっています。

「船橋屋」の人気和菓子はなんと言っても「くず餅」。

白玉のあんみつや昔ながらの汁粉も人気ですが、「くず餅」のプルンプルンの食感と和菓子で唯一の発酵食品とあって健康に良いのも人気の理由なのだとか。

 

その「船橋屋」の8代目当主渡辺雅司さんが「船橋屋」を超人気企業に生まれ変わらせました。

老舗和菓子店を革新的に「幸せ」経営術を使ってどのように育てたのでしょうか。

また、「幸せ」経営術とはどのような戦略なのか調べてみました。

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渡辺雅司氏のプロフィール

出典:トーマツイノベーション

名前:渡辺雅司(わたなべ・まさし)

生年月日:1964年

出身地:東京都

出身高校:立教新座高等学校

出身大学:立教大学経済学部卒

職業:株式会社船橋屋代表取締役社長

座右の銘:「我以外皆我師」

渡辺さんは現在社長をされている「船橋屋」の跡取り息子として生まれました。

高校は立教新座高等学校、大学は立教大学に進学されます。

 

ちなみにこの立教新座高校の偏差値は71、立教大学経済学部の偏差値は62.5なので渡辺さんご自身かなり頭の良い方なのがわかります。

 

大学卒業後の1986年には家業の「船橋屋」に入社するのではなく、大手都市銀行の三和銀行(現・三菱UFJ銀行)に就職します。

恐らく家業を継ぐ前に社会経験を積むため、一度外の世界を見ておく方が良いと考えられ、大手都市銀行に入社されたのではないかと思います。

ここで7年間就労した後、1993年に家業である「船橋屋」に入社されます。

 

家業を継ぐことを決心された理由としては、銀行マンとして仕事に価値を見出せなかったからのようです。

渡辺氏が銀行員をされていた当時はバブル時代の始まりから終わりの時期で、浮かれ、そして沈んでいく会社をの様子を目の辺りにした経験から企業経営の本質を学ばれます。

 

そういったバブル時代終焉時、企業にとってお金とは人間で言う血液に当たる存在なのに、それを司る銀行が世の中の情勢に合わせてその都度銀行の方針を変えていました。

融資をどんどん進めたと思うと総量規制が始まると一転して貸し剥がしに方向転嫁するという状況に面し、仕事に価値を見出せなくなったからだそうです。

 

そう感じていた矢先に「船橋屋」の6代目(渡辺氏の祖父)が倒れ余命1年と宣告されたこともあり、「船橋屋」を継ぐ事を決められたそうです。

 

そして「船橋屋」に入社後、専務取締役として経営改革に着手し、ISO(品質管理)の取得も行われました。

 

2008年8月には8代目店主として代表取締役社長に就任され、老舗の組織改革を進め、7年前より新卒採用を始めたそうですが、現在では16,000人を超えるエントリーを獲得するなど、若い世代も注目する企業へと大きく成長させました。

また、渡辺氏が社長を務められているこの約6年間で経常利益は5.8にアップしています。

そして近い将来海外に展開することも視野にいれており、「船橋屋」元来の和菓子の販売だけではなく、サプリメントの開発・販売も事業領域に加えており今まさに伸びている企業と言えるのではないでしょうか。

 

渡辺氏は元々頭も良く思考の回転が速かったのでしょうが、それと同時に銀行員時代に培った経験だったり見てきて感じた事、そういった全てが渡辺氏が「船橋屋」を継いで社長になられて良い会社作りに貢献出来ているのだと思います。

「老舗」と「改革」は相反するものであり共有が難しいような気がしますが、昔の良い伝統を継承すると同時に現代社会に適応させることが現代社会では求められているのでしょうね。

それを上手く成立させ、人気企業に導いた渡辺氏の経営力はすごいと思います。

 

渡辺雅司氏が「船橋屋」で取った経営手段とは?

渡辺雅司氏が「船橋屋」に入社した1993年頃は内部事情が悪く、あまり良い状態ではなかったようです。

職人さんたちが昔ながらの製法を守ってきてくれたからこその「船橋屋」でしたが、それと同時に職人ありきの縦型組織でした。

 

例えば、職人さんが「今日の仕事はもう終わったから」と、夕方から酒を飲み始めたり、出勤日の日曜日は競馬に行ってしまうということが日常茶飯事にあったようです。

また、50~60年付き合っている業者との関係もなあなあで、材料費の卸値も適正価格ではなく、問題が山積みだったそうです。

 

そんな「船橋屋」を立て直すために、渡辺氏が銀行マン時代に培ったノウハウを取り入れ、材料費の見直しと是正、職人への教育を改めます。

案の定最初は思うようには行かず、「船橋屋」の離職率も高くなる一方だったようです。

ですが最初の10年は徹底して大ナタを振るい浄化に心がけたようです。

 

2001年から当時の和菓子メーカーでは異例のISO(品質管理)を取得して属人的な仕事内容の「見える化」に着任します。

ISO取得のために嫌がる職人をパソコン画面に向かわせ、自分の仕事を1つ1つISOの仕様に従って書き出すように命じ、1年がかりで「船橋屋」の品質管理のルールが出来上がります。

ISO(品質管理)を取得する事により「職人絶対主義」から脱却し、社員全員で品質管理の進め方を共有し社内改革に向けた第一歩を歩み始めます。

213年も続く老舗ですが、職人に代々受け継がれてきた伝統を「見える化」する。

ある意味これは伝統と革新の共存のような気がします。

そしてそこまで持っていくには大変な労力が要ったと思います。

 

当時のことを渡辺氏は下記のように語っています。

それは、濁った水をきれいで澄んだ状態へと浄化させていくようなもの。既得権を持つ人間があぶり出された一方、俗人的な仕事内容を見える化していきました。

その過程の中で、さまざまな反発や自らの葛藤もありましたが、澄んだ水に戻すことで新たな人材やお取引様とも出会うことができ、本格的な意識改革、構造改革をスタートさせることができました。

まさに浄化ですよね。

やはり一度もとの状態に戻しそこから再出発が必要と考えられたのだと思います。

人間新しい人や新しいことには拒否反応が出やすいと思うので、最初は大変だったと思いますが、それが必要だったのですね。

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渡辺氏の「幸せ」経営術

浄化は進みますが、渡辺氏は1つのことに気付きます。

浄化して悪い慣習を改善しても社員に元気が見られず活気が感じられない。

そしてどうしてそうなったのかについて考えたところ、昔の慣習を改革しようとするあまりルールや規則で社員をがんじがらめにしていたことに気付いたのです。

 

仕組みで縛り付けるのではなく、幸せな経営について考え始めます。

「船橋屋」が存在することで、まずは自分達が幸せになり、お客様も幸せになり、それに関わる全ての人が幸せになること。

それが、幸せな経営=会社だと考えます。

経営の軸が定まったことで大きな変化が生まれ、2011年からは新卒採用も始めました。

 

「くずもちイズム」

慣習的「船橋屋」から新しい「船橋屋」へと改革を進めて行くには渡辺氏と同じ「志」を持った人材が不可欠だと考え、「くずもちイズム」という経営理念を元に人材の底上げを目指します。

くずもちイズム

じけない心意気

っと磨き続ける自慢の商品

っと良いを表現する経営体質

からを強く今ここに全力投球する人材

その後、上記経営理念に基づいた新しい人材が入ってくると組織の体質が徐々に変わっていき、以前の職人気質の組織風土から一変、チャレンジ精神の溢れた会社へと変革します。

 

プロジェクトマネジメント体制

さらに、渡辺氏は社内組織の改革にも着手されます。

それまでの部門制で年長者がトップを務めるタテ軸型ではなく、ヨコ軸で走るプロジェクトチームを立ち上げ、アメーバ経営の考え方をベースに職位や勤続年数に関係なく社員の意思で主体的に考え行動するプロジェクトマネジメント体制を確立されます。

出典:Jinjibu.jp

そんなプロジェクトの中でも現在の「船橋屋」を形作る根幹となっているのが、職場環境の改善や社員のモチベーションアップ策を提案・実施する「組織活性化プロジェクト」だそうです。

全社員が管理されて動くのではなく、自律型人材の育成、各社員の能力を高めて行ける組織を作ることに重点を置かれているようです。

 

給与体系

「船橋屋」が取っている給与体制とは、給与のベースとなる人事考課を「行動評価」で行っています。

どのようなものかと言うと、評価する人は本人、上司、人事部と社長。

各評価人は評価する行動が違い、総合的に評価される仕組みの上、仕事内容の評価は全て数値化され、合計した点数で評価を行い毎月の給料が決まるようです。

例えば125点以下だと「初級職人」、250点以上だと「巨匠」といった具合に。。。

この「マイスター制度」が、ステップアップするために必要となる具体的な「スキル」を明確化し努力目標を設定することが可能となると同時に、日常的に部下と上司のコミュニケーションが増え人材の育成が円滑に進められるようになっているようです。

 

 

数人が評価する事から公正さがありますし、ビデオゲームをやっているような感覚で、「来月は頑張ろう!」というようにモチベーションアップに繋がりそうな体系ですね。

また、レベルがアップすれば給与もあがるなんて、好循環ですし、人材育成にも貢献しているとなると一石二鳥の感じがします。

 

社内サーベイ

社内サーベイを通して社内の風通しが良いかどうかを判断します。

社員一人ひとりの声が組織に反映される体制を取っているのが伺えます。

 

「くずもちイズム」「ヨコ軸プロジェクトマネジメント」「給与体系」「社内サーベイ」どれを取っても会社一番ではなく、「船橋屋」で働いている社員を第一に考えての経営方針のような気がします。

そして渡辺氏が考える「幸せな」経営を支えている体制なんですね。

 

渡辺氏のご家族や年収、「船橋屋」についての記事も是非一緒にご覧ください。

船橋屋:渡辺雅司氏の経歴や年収は?船橋屋と親・妻・子供についてもまとめてみました!

 

まとめ

渡辺氏の「幸せ」経営術に軸を置いてまとめてきましたが、それは「船橋屋」が存在する事でそこで働く社員、そこに来るお客さん、「船橋屋」に関わる全ての人が幸せになる連鎖を考えてのことなのですね。

やはり会社で働く社員が生き生きと仕事をしないとその会社は魅力的に見えないですし、ましてやサービス業ならそこに来るお客さんはそこにある空気を必然的に感じると思います。

 

現に経常利益もアップしていますし、若い世代にも注目されている企業にまでなりました。

それほど渡辺氏の「幸せ」経営術が理にかなっている証拠なのだと思います。

今後、「船橋屋」が渡辺氏のもとでどのように世界で活躍していくのかも楽しみですね!

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました♪

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