エリック・カイザー氏と言えば、パン業界で知らない人はいない程、有名な方です。
フランス・パリだけでも「エリック・カイザー」のパン屋さんは20店舗以上。
世界では20か国で店を展開しており、世界的に有名なパン職人です。
日本では2000年にエリック・カイザー氏と木村周一郎氏が共同出資で「株式会社 ブーランジェリーエリックカイザージャポン」を設立し、2001年より木村周一郎氏が代表取締役として「メゾン・カイザー」でフランスパンの製造・販売をしています。
現在2018年では全国で「メゾン・カイザー」ブランドを30店舗展開しており日本でも有名なパン屋さんです。
そんなエリック・カイザー氏のプロフィールと経歴をまとめてみました。
エリック・カイザー氏のプロフィール

出典:Maison Kayser Cambodia
名前:エリック・カイザー(Éric Kayser)
生年月日:1964年10月16日(現在53歳)
国籍:フランス
出身地:フランス・アルザス地方のリュールという街
職業:パン職人、料理評論家、料理本著者、製パン学校の講師
カイザー氏はフランス・リュールというアルザス地方の街に生まれました。
アルザス地方は昔からドイツとフランスでその国土を争っていた歴史があるので話す言葉も大変特殊でフランス語とはまた違い、「アルザス語」とフランスでは定義されていたりします。
そしてドイツ系の方々が多く暮らす地域でもあります。
この地方の方々は自分のことを「アルザス人」と定義しています。
なのでカイザー氏の外見も、フランスというよりはドイツの血が流れているように見受けられます。
実はカイザー氏、ロレーヌ(Lorraine)で代々6世代も続くパン屋の家系に生まれます。
幼少のころからパン工房に強い憧れをもっていたそうです。
それはカイザー氏が6歳になると早朝から父親についてパン屋に出かけていたことからも伺えます。
1975年、カイザー氏が11歳の時にご両親と一緒に南仏にあるコートダジュールへ引っ越します。
とっても寒いアルザス地方から温暖な気候のコートダジュール、かなりのチェンジですね!
その地に住む人々も全然違います!
アルザスはゲルマン系ですが、南仏は特にラテン気質です。
少なからずカルチャーショックはあったのではないでしょうか。笑
エリック・カイザー氏のプロフィール
カイザー氏、学校を14歳で卒業して働ける年齢になると、フランスを一周しながら様々なパン作りの修業を積みました。
15歳でパン職人の資格を取得し、19歳でパン技術指導者の資格を取得します。
1988年、カイザー氏が24歳の時にINBP(l’institut national de la boulangerie pâtisserie)フランス国立製パン学校 にて講師を始め、職人の養成に注力します。
ここで2000年に日本で「メゾン・カイザー」を一緒に展開していく木村周一郎氏と出会うんですね。
「木村屋」の御曹司、木村氏のプロフィールはこちらからどうぞ!




それにしても日本人の感覚からすると「15歳で働き始めるなんて若い!」と思いますが、フランスではこれは普通なんです。
料理人や手に職を持つ人の多くは、15歳あたりからその道に進みます。
そしてフランス人の多くは15歳くらいで自分の将来について考えはじめ、それに合う勉強をしていきます。
個人の成長もその分早いとは思いますが、個人的に15歳で将来を決めるのは早すぎると思っています。
1996年9月に初めて自身のパン屋、「Éric Kayser(エリック・カイザー)」をパリ5区のRue Mongeにオープンします。
出典:maisionkayser instagram
そして現在では前述の通り、フランス・パリ市内だけでも20店舗以上そして日本のみならず世界各国で「エリック・カイザー」としてパン屋を展開させているグローバルブランドまで成長しています。
そして現在カイザーしは、「50年に一度、出るか出ないかの天才パン職人」と称されている程です。
パンを作る天才はたくさんいますが、それを理論的に解説できる職人はそういないそうです。
それが出来るのがカイザー氏なのですね。
カイザー氏は何がすごいのか?
そんなカイザー氏、何がすごいのでしょうか?
カイザー氏が様々なところで修業を積み、様々なパンを食べ、イーストの乱用によりパンの味が落ち続けていることに気付きます。
そして同時にフランスのパン業界に危機感を抱きました。
当時のパンは製造の効率を優先した結果、高密度のイースト菌を使用し、小麦の風味が薄れてしまっていました。
その結果、フランス人ですらフランスパンを食べる機会が減少するほどだったそうな・・・。
そのため、カイザー氏は1800年代以前の伝統的な製法でのパン作りに戻ることが必要と考え、「ルヴァン フェルメント」(天然酵母を管理する機械)を作り上げました。
これでイースト菌に代わる「ルヴァン リキッド(液体の天然酵母)」と呼ばれる天然酵母を作り、パン作りの安定化を成し遂げたのです。
それまでは劣悪な環境で長時間労働だったパン職人たちはパン作りに対する意欲も低下し、天然酵母による発酵の技術の追求は難しく、悪循環だったようです。
機械一つで天然酵母の管理が出来るようになった「ルヴァン フェルメント」の登場は、当時のフランスのパン業界に衝撃を与え、製品化されると各地のパン屋で取り入れらるようになりました。
先日放送された「カンブリア宮殿」に出演したカイザージャポンの木村周一郎氏も、テレビ上にて「ルヴァン フェルメント」を生命線と説明していたほど大切な機械です。
「 ルヴァン フェルメント」によって管理された「ルヴァン リキッド」で作るパンは、様々な酵母が発酵を促すため、味に奥行が生まれ、カイザー氏が求めていたパン本来のおいしさを復活させることに成功したのです。
この功績は、エリック・カイザーの名がフランス中に知れ渡るきっかけともなりました。
そして毎朝のようにカイザー氏のパン屋にはカイザー氏のバゲットを求め長い列が出来るようになったのです。
カイザー氏のパン屋では1日に3000~4000本バゲットが売れるというくらいですから、どれだけ伝統的な製法で作るパンがおいしいのか、そして消費者がどれだけそれを求めているかが分かりますね。
こうして「eric kayser (エリック・カイザー)」第一号店Rue Mongeで成功を収めた後、2店舗、3店舗オープンし、フランスだけではなく日本やアメリカ・ニューヨークなど世界への進出にもつながっていきました。
大げさかもしれませんが、カイザー氏がいなかったらフランスパンの需要は年々減少に向かっていたかもしれません。
カイザー氏が天然酵母による風味豊かなおいしいパンの安定生産の道を切り開いてくれたからフランスのみならず日本やその他の国々でもおいしいフランスパンを味わえることが出来るようになりました。
パンの歴史に偉大な功績を残した人物の一人と言っても過言ではないでしょう。
まとめ
ブログ主もフランス在住時に食べましたが、エリック・カイザーさんのパンは本当に美味しかったです。
外のパリッと感、中のモチモチ感、半端ないです!
イースト菌で作られたパンと天然酵母のパンの違いは明らかで、衝撃的だったのを覚えております。
エリック・カイザー氏のパン屋は知っていましたが、ここまでフランスのパン業界に功績を残していたとは知りませんでした。
フランスのみならず世界のパン業界ですね!
またカイザー氏のパンが食べたくなりました。
皆さんも「メゾン・カイザー」「エリック・カイザー」のお店近くまで寄られた際は是非食べてみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂き、ありがとうございます♫
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